11本目 『サイコ』
誰と? 一人で
どこで? 家で
夜更かしをしていると、だいたいの場合トイレに起きてきた父親に咎められるのだが、驚いた。見てるのがサイコだと気付くと感心したとばかりに寝室に戻っていった。これだから映画オタクは。
サイコ、自分は風呂場で包丁(?)を振り回すシーンの事以外はなんの事前知識も無かったのだが、うん。幸いした。
モーテルの青年、ノーマン・ベイツの不気味さが溜まらない。モノクロ映画だからか、彼のわざとらしいまでの表情の機微が、豹変が。底知れぬ不安を掻き立てるのだ。内面の複雑さを伺わせながら煙に巻く様な、そんな演技だ。
近頃はサスペンスであってもアクションによる見せ場が設けられている気がするが、時代が時代。あの風のような一瞬の凶行。その呆気なさに息を飲んだ。
今でこその楽しみかも知れないが、あまりに多くの作品に影響を与えていることが見てとれるところも中々いい。初めて見るのに、初めての気が全くしない!
この映画の血を受けただろう作品に、どこかで行き当たっていると。そしてこの映画はそれらのどれよりも不気味に、とても暗い輝きを放っている。そんな確信だ。
メインテーマも良かった。結構かかる割りにくどさを感じず。それほど、効果的に用いられていたと言うことだろう。どこかの戦闘機映画は見習ってほしいものである。
当然ではあるけど、日本にモーテルって全然ないよね。